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スパイダーマンのKIのレビュー・感想・評価

スパイダーマン(2002年製作の映画)
4.1
サム・ライミ版スパイダーマン第1作にして、スパイダーマン長編実写映画第1作。忘れていることがほとんどで、かえって新鮮。プロレス出演からスーツや通称が確立したことなんてすっかり抜けてた。「シャザム!」って、今になったら気の利いたDCネタだと分かるど、当時の自分には何のこっちゃわかりゃしないよ。

20年前の映像は見劣りするものの、スパイダーマンの醍醐味のNYスイングシーンは気持ちが良い。糸で物を掴んだり、壁から壁に飛び移ったり、敵の妨害をしたり、落下する人を助けたり、スパイダーマンの力をフルに活用していました。秀でたことが何もなく落ちこぼれだった主人公が、人体変異によって能力を持ち始める様は怖く(指から毛が生えるのは気持ちが悪いよ)もあるが、人生をやり直すきっかけを得た喜びに溢れていた。家族・友人・敵に、自分がスパイダーマンだとバレるかバレないかサスペンスも面白い。

もはやお約束となったMJはゴブリンに落とされるというジンクス。この1作目にもあったんですね。にしても、MJセクシー過ぎませんかちょっと。高校卒直後とは思えませんよ。雨の中での逆さキスシーンは、スパイダーマンであると言えないピーターのもどかしさと、付かず離れずな幼馴染MJとの関係がエモい。

ベンおじさんについては、今作が最も丁寧に描いているように思えた。両親のいないピーターに、父親たろうとしても、父親らしい行動もできずにいる。でもそれは全てピーターらしく生きてほしいという優しさから。あの悲しすぎる別れが辛い。もしあの時犯人を捕まえてれば...。ベンおじさんという存在が、スパイダーマン誕生に大きく影響していることを再認識しました。

ウィレム・デフォーのゴブリンは仮面を脱いだ表情も、いやむしろ仮面をしてない時の方が怖いというぐらい、しっかりヴィランである。鏡を介してオズボーンとゴブリンが会話する様は演技力の賜物ですね。グライダーの水平移動はスイングとの対比になっているようにも思えた。グライダーはコミックの紙面上でもスイングの躍動感を出すためのアイデアだったのでしょうか。

親友に父親を殺されたハリー、ハリーに対するピーターの責任の大きさは絶大なものであろう。重大な責務を伴ったヒーロー誕生譚は、クモに噛まれるという奇妙な偶然から生まれた。
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