majizi

晩春のmajiziのレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
4.0
戦後のハイソな家庭、鎌倉に住む父と娘の物語。
小津監督の描く家族。

確かな品の良さと、まだどこか幼い心が残る娘。

「幸せになるんだよ」

何度も唱える、娘を思う父。

戦後の復興を思わせる、でもどこか理想的な匂いがする作品。

こういう映画を観ると、つくづく私の日常はうるさいと感じてしまう。

余計なものがあまりなく、どこかしら余裕が出てきた人々の、のんびりとした会話と時間。

価値観があまり多様化していない時代とはいえ、今見ても共感できる普遍的なものが漂っています。

そして鎌倉や京都という、日本人なら誰もが持つ既視感と心象風景をはめ込むのが絶妙。

ほぼ同じ構成が後年の「秋刀魚の味」なんだけれど、あちらはカラーでより洗練されてる感じ。

でもやっぱりラストに泣かされるのは同じでした。
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