戦後のハイソな家庭、鎌倉に住む父と娘の物語。
小津監督の描く家族。
確かな品の良さと、まだどこか幼い心が残る娘。
「幸せになるんだよ」
何度も唱える、娘を思う父。
戦後の復興を思わせる、でもどこか理想的な匂いがする作品。
こういう映画を観ると、つくづく私の日常はうるさいと感じてしまう。
余計なものがあまりなく、どこかしら余裕が出てきた人々の、のんびりとした会話と時間。
価値観があまり多様化していない時代とはいえ、今見ても共感できる普遍的なものが漂っています。
そして鎌倉や京都という、日本人なら誰もが持つ既視感と心象風景をはめ込むのが絶妙。
ほぼ同じ構成が後年の「秋刀魚の味」なんだけれど、あちらはカラーでより洗練されてる感じ。
でもやっぱりラストに泣かされるのは同じでした。