さく

晩春のさくのレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
4.0
過去に何度か小津安二郎は観たのだけれど、正直、「何が良いのかわからん…」と映画鑑賞リテラシーの低さを実感するだけで終わっていたのですが、色んな本を読んだり、映画を観たりした上で、久しぶりに観たら「なんか良いかも」と思いました。

話の筋が面白いか面白くないか、みたいな視点でしか映画を観れていなかったころは、そりゃ面白くないですよ、こんなの観ても。常にローポジションから映し出される日本家屋での日本人の所作や、常に斜め正面から映されて語る人とか、△を意識した構図とか、画面全体のバランスを執拗に意識した映像とか、ある種偏執的なこだわりを感じる映像の数々。

今、私は『どうぶつの森ポケットキャンプ』を朝から晩までやっていて、家具の置き方とか動物の所作とか、そういうのを意識して数時間かけてレイアウトを考えたりしているので、小津安二郎の気持ちが痛いほどわかりますよ。

あと、所々挟まれるユーモアがほんとしょーもないネタだったりするのに、異様に笑いのツボを押してきます。笠智衆の織りなす、独特のテンポと間みたいなものに引き込まれて、しょうもない冗談でも思わず吹き出してしまいました。つくづく、笑いというのは間と空気が重要だと実感しました(何の話だ)。
さく

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