さく

マルサの女のさくのレビュー・感想・評価

マルサの女(1987年製作の映画)
5.0
午前十時の映画祭。ジャック・ニコルソン主演です。

過去に何度か見たような記憶もあるけれど、そのときはあまり刺さらず、今見返したら超名作でした。

色んなところで書かれているので、今更私如きが言うまでもないですが、山崎努さんの演技が凄すぎる。これを見るだけでも価値がある。

子供の頃は宮本信子さんの良さもわかっていませんでしたが、おっさとなった今見てみるとチャーミング(昭和か)ですね。

ところで、「宝くじの男」がギリヤーク尼ヶ崎さんだということをエンドロールで始めて知って、「おっ!」となりました。

(以下余談)
伊丹十三監督作品は、全くサブスクにこないので、権利やら何やらがややこしいことになっているのかと思って調べてみたところ、「あえてそうしている」とのこと。

何でも、楽には見れなくすることで希少性を高めて作品の価値を高めて云々…という戦略らしいのですが、これってどうなんですかね? 私はあまり賛同できない。

単に「サブスクで見たい!」という欲があるのも否定できませんが、DVDなどをレンタルして見る、テレビで見る…という文化が廃れてきた現代において、「見れる術を限られたものに絞る」という戦略は私は取るべきではないと考えます。

例えば、同じようにソフト化しないで希少価値を高めている作品に『サウダーヂ』という名作もありますが、これは私は好きですが、大衆受けするような作品ではないと思うし、一部のコアな層に向けてこうした戦略を取るというのはアリだと思います。

一方、伊丹十三監督と言えば、その実績からも「邦画史に残る国民的な映画監督」と言っていい人ですし、大衆的な人気も博してきた作者だと思います。

このような作品群を、「一部の映画マニア」のためだけのものとしてしまうのはもったいないし、最近映画好きになった若い世代でもサブスクで見れるようにした方が、私は良いと思います。

同じようなことはジブリの作品にも言えると思っていて、このまま「レンタルするかテレビ放映でしか見れない」なんて状況を続けていたら、そうした旧メディアとともに「過去の遺物」となりかねないと私は思います。いずれ子供達が見なくなりますよ。

私は同じようなことを電子書籍化にも感じていて、「電子化したくない」という作家の気持ちも理解できなくはないものの、何やかんやエンタメ産業なんだから大衆性を保つようにしないと、せっかく後世まで語り継がれるような作品が、文化財みたいな扱いにいずれなってしまうではないかと思います。

水島新司先生の作画品をKindle化して欲しい!

おわり
さく

さく