しらす

人斬りのしらすのネタバレレビュー・内容・結末

人斬り(1969年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

同じく、幕末の人斬りを描いた大ヒット映画が何とも釈然としない出来だったので、口直しに20年振りに鑑賞。
五社英雄監督、橋本忍脚本で幕末最強の人斬り岡田以蔵の半生を描いた娯楽大作。

「人斬り」

見所は勝新太郎演じる以蔵の何とも言えない愛おしいさだ。
蛸を嬉しそうに食べ、豪快に酒を飲み、酔い潰れ、女郎のおみのに甘えながら、子供の様に泣きじゃくる。
師と仰ぐ武市に見捨てられた時のあの瞳、
まるで捨て犬の様である。
狂気と愛らしさを同居させた以蔵の姿は時代を超えて多くの人々の心に残るキャラクターになっていると思う。

誰よりも剣客としての才を持ちながら、権力に利用され、命令されるがままに天誅を下し、最大の友ですら言われるがままに裏切ってしまう。
武市の飼い犬である事を受け入れる事で以蔵は自分の人生を失っていく。

近年の話題作マーティン・スコセッシの「アイリッシュマン」に通じるテーマが
50年前の映画で描かれているのには心底驚かされる。

罪を告白し、武市の呪縛を離れた以蔵は最期に自分の人生を取り戻す。
そして、お前はどうなんだ?
と観客が以蔵に問いかけられる
そんな映画。

それにしても、賠償美津子演じる遊郭の女郎おみのが魅力的過ぎて、以蔵が憧れる姫の印象が極端に薄くなってしまっているのは否めない。
そのせいで想い人の兄を斬ってしまうというドラマがいまいち機能してない気もするのだが‥
まあ、おみの萌えならいいじゃん!
細かい事気にしても仕方ねえ。

見終わると、
勝新のような豪快な人間になった気になったり。
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