EugeneHashimoto

ベニスに死すのEugeneHashimotoのネタバレレビュー・内容・結末

ベニスに死す(1971年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

メモ

鬱陶しい芸人にダル絡みされる笑われ耐性のなさそうな音楽家アッシェンバッハ教授の姿が哀れだった(音楽家って出自としては道化に近いと思うので、一種の同属嫌悪にも見える。作曲家はまた事情が違うかもしれないけども)。

疫病が流行っているとも知らずにどんどんやってくるゴージャスな人々。消毒の風景(生クリームみたいな液体をザッパザッパ掛けて回っている。臭いらしい)。掃き溜め。火と煤。苺とコレラ。

教授が、なぜ消毒しているのかを屋台のおっちゃんに尋ねるもシカトされてしまうくだり、ただの意地悪だと思ってたけど、状況を考えるとあれはあれでひとつの良心のありようだったのかもしれない。

ビューティーはつくれるか否か。教授はつくれると思ってるけど強い確信はないもよう。

リドに戻る口実ができたときの表情! 続く船での移動シーンでこのおじさんのかわいさが強調されている。おじさんもそのままでかわいいぞということをおじさんがちゃんと知っていたらあんなことにはならなかったのではないかと思う。

ビョルン・アンドレセンの自然とトーマス・マンの努力を差し引いたあとに残るヴィスコンティの手柄がそれほどあるかというと微妙なところだと思った。他の作品と比べると手遊びというかんじがする。
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