ももみ歌と映画とアート

ベニスに死すのももみ歌と映画とアートのレビュー・感想・評価

ベニスに死す(1971年製作の映画)
3.5
『世界一番美しい少年』を見てからずっと見たくて、やっと見ました。

冒頭から、マーラー『交響曲第5番』第4楽章の少し不穏で美しい旋律、ベニスに向かう船からの美しい風景にうっとりします。
ストーリーと言えば、中年の孤独で病弱な音楽家が美しい少年に心奪われてストーカーさながら背後を付け回す…それだけですが、映像と音楽は本当に美しいです。「美」とは何か、がこの映画のテーマでしょうか。

ビョルン演じるタジオはヴィスコンティの指示通り振り向いて微笑むだけ。演技らしい演技はしていませんがそこが良いのか、やっぱり美しくて見蕩れます。

ラスト近くではやり過ぎな白髪染めと化粧が狂気じみてくる音楽家ですが、決して手に入らない、けれど自分が守った(つもりの)美しい愛するものを見つつ死ぬというのは幸せなことだと思ってしまいました。