ももみ歌と映画とアート

若者のすべてのももみ歌と映画とアートのレビュー・感想・評価

若者のすべて(1960年製作の映画)
4.0
長男を頼って貧しい故郷からミラノにやって来た母親と兄弟。冒頭は和気あいあいでコメディかと思うほどなのに、兄弟と1人の女性が出会ってから、運命が大きく変わっていく。
古い作品なのにこんなに面白いのかと驚きました。ヴィスコンティって凄いんだなと…(今さら)

やはり見どころアラン・ドロンが演じるロッコですが、前半はあまり魅力的に見えないのに驚きました。おっかなびっくりな雰囲気で、クリーニング屋の女性達が言う「眠れる森の美男」と言う表現がぴったり。これは演技力が凄いのか演出が凄いのか…
後半は魅力全開でまさに主役でした。

好きなシーンはロッコの兵役中にナディアと再会し、カフェで話すシーン。強がってばかりのナディアがロッコの苦労と優しさに触れ、心を開いてひとすじの涙を流す。やっと幸せに手が届いたのに、その後の運命を思うと本当に切ない。

伝えたいテーマとしては、自分の幸せを犠牲にして聖人のようにひたすら家族を優先しても誰も幸せにならない、ということかと。ロッコに選んで貰えなかったナディアが可哀想でした…