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月はどっちに出ているのcyphのレビュー・感想・評価

月はどっちに出ている(1993年製作の映画)
3.7
日芸映画祭『移民とわたしたち』にて鑑賞 めっちゃ面白いよ!と周りに激賞されていたけれど当時にしては新しい、だったんだろうな〜という印象 癖のある関西弁で喋る出稼ぎフィリピーナは確かに魅力的だけど、根強い人種差別には恐ろしく根気強く"殴られ"続ける在日朝鮮人の主人公が女に対しては恐ろしく大胆にハラッサーとして振る舞うのが時代ってかんじでしんどい アフタートークにてプロデューサーの方が知り合いのタクシー会社の社長にタクシー会社事務所を借りて撮影し、最終日に事務所が火事になるシーンを撮った 半焼で収めるつもりが監督がまだまだだと撮影を止めず全焼になった 後日全焼した事務所を見た社長は唖然としていた、というエピソードを楽しそうに話されててすんげー時代だな となった 結婚式などの場で北朝鮮系と韓国系とが揉めたあげく全員で歌って踊ってうやむやになる、というくだりは当時から鉄板のあるあるらしい 日陰に日があたった、という意味で価値のある作品なんだろう


▼ 李鳳宇さんアフタートークメモ
崔洋一監督は朝鮮学校の先輩だった 当時、在日韓国人で演劇映画をやっていこうというムーブがあった 結婚式のシーンは同級生・知り合いを集めて撮った 民団と総連のいがみ合い、でも最後はみんな踊って歌うっていまでもやってますから 1年間、26稿まであった 別のエンディングは主人公がフィリピンでタクシードライバーやってたり、ほそがもう一度出てきたり 火をつけて全てを無くそうとするのはよくある顛末だった 走るシーンで大怪我してアキレス腱14針縫った 火事のシーンは唯一残ったシーンで無理やり撮った 5〜7分で撮りますっていってたら15分以上撮って、借りたタクシー会社は全焼しちゃって翌日きた社長がびっくりしてた 湯布院映画祭に出した 見終わった後の討論会でコテンパに言われるだろうとびくびくしてたら誰も手を挙げなかった 無理やり当てたら 「言葉が出てきません 笑っていいのかだめなのか、フィクションなのかリアルなのか、わかりません」 じゃあこれは、わかりたいと思ってもらえている 売れるかもなと思った 山田洋次の学校と同じ公開日 僕が作った第七藝術劇場と、ピカデリー地下で4週間 初回はぜんぜんで新宿南口の立ち飲み屋で朝から枡酒と塩煽って「俺もタクシー乗らなきゃかな〜」など話してた 戻ったらピカデリー1の前に大行列で、監督はそこに向かって「この国はいつまでも山田洋次かよ!」と叫んだ そしたらその列はピカデリー2(地下)に並んでた 結局その後全席満席で翌日昼まで飲んだ それで26週間、記録的大成功した

他にも見たいという人は、『犬走る』 これも素晴らしい 配給だけ携わった あと好きなのは『刑務所の中』『血と骨』 ヤンさんはあんまりこの作品好きじゃない タイトル変えたのがあかんかった
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