銀幕短評(#704)
「ベロニカ・フォスのあこがれ」
1982年、西ドイツ。1時間55分。
総合評価 75点。
ファスビンダー監督のモノクローム映画。そして異様に白い空間。不穏(ふおん)ですね。また身勝手ですね。「負けている途中がいい」、なるほど。意気地がないのに いつまでもあんなに見栄を張るんだ。そして、あの医師は守秘義務を守らないのですね、わたしですら守るのに。
登った山は きっかり同じだけ降りてこないといけない。「Once upon a Time in Hollywood」の回で そう書きました。落ち目、下り坂は 遅かれ早かれ、だれにでも来るものですよね。
全編、テンポのいいカメラの切り替えと すぐれたアングル、光と影の強調が巧みな映画です。
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(欧州ロングドライブ)
フランスはフラン、スイスもフラン、イタリアはリラ、デンマークはクローネ、西ドイツはマルク。と思ったら。。スイスとデンマークは まだEU非加盟でした。
妻と むかしドイツでボルボのレンタカーを借りて アルプス山脈越えをしたのですが(フランクフルトから入って、ライン河をのぼって、シュバルツバルト(黒い森)をぬけて、スイスで遊んで、コモ湖に出ました。コモ湖はもうイタリアです)、イタリアに入ったところで高速道路の国境越えの料金所があって、伊リラをもっていなくて立ち往生しました。ゲートをひとつ ながい時間ふさいで、料金所のおやじと つべこべバトルしていたら、後続の大型観光バスの旅客大勢がかんかんに怒っているのが見えます。まあ あたりまえですね。ので、けっきょく無賃で料金所を通してもらいました。ああ あれは得したなあ。ユーロに統一されていたら、こういうゴネ得のわざはできないですからね。
イタリアの中部にあるサンマリノ共和国は 古くからの山岳城塞(じょうさい)国家で、見どころがたくさんある すてきな町(マイクロ国家)です。切手が きれいなことでも有名ですね。
そしてボルボの旅はつづく。