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横道世之介のkojikojiのレビュー・感想・評価

横道世之介(2013年製作の映画)
4.7
2013年 日本 監督:沖田修一 原作:吉田修一
キャスト:高良健吾、吉高由里子

 原作者、監督の人を見る目の温かさを感じる。こんな人物は、その温かさがないと描けないだろう。傑作だ。

 長崎から法政大学に来たお人好しの世之介(高良健吾)は、どこか変わっている。そして可笑しい。思い出すとつい笑ってしまうような男だった。

 いろんなエピソードがとにかく可笑しい。久しぶりに笑った。
 長崎弁がいい。少し大袈裟で普通じゃないけど、強調するためには仕方ないか。
 
 登場人物がまた、いい。もちろんしょうこちゃん(吉高由里子)もいいのだけど、
お父さん役のきたろうが可笑しい。しょうこちゃんが長崎に遊びに来た時のきたろうの「妊娠したの?」と聞くアクションがたまらない。

 それ以上なのが綾野剛。二人の関係は大学時代でないと生まれないような関係で、どれも面白い。
「50円貸してもらったよね」
「人違いだよ。」
 で始まる二人の出会いが可笑しい。
 世之介は彼にどんなふうに思われていたのか。
 何年か経って綾野剛が世之介を思い出して、だんだん笑いが止まらなくなるシーンがある。世之助がどんな男だったか、一番よくあらわしているシーンだ。
 綾野剛が笑いながら友達に言う。
「そうか、お前、あいつのこと知らないだもんな。なんか得した気分」

 確かにこんな男に出会えたことは、人生の喜びだ。
 映画は言っているような気がするのだ。
 「この映画を観て笑えなければ、貴方は横道世之介には一生出会いない。」

#2022-210
死ぬまでに観たい映画マイベスト1000-76
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