初めて対面したホーテンスを前に、過去への悔いから来る己への恥や、立派な女性として育ってくれていたことへの喜びが入り交じり、嗚咽をこぼしながらそれでも苦しそうに笑うシンシアの表情が見事。
寄り添うつもりはあるのに関係を修復できずにいる母と娘の心の距離や、その不和から新たに関係を築いたホーキンスへと心がうつってしまう心情は、共感とはいかないまでも凄く納得できる。
会話劇における長回しがこれほど機能している映画も珍しく、相手との関係性から生まれる言葉を紡ぐまでの少しの間や、些細な仕草を決して取りこぼさない監督の洞察力に敬服。
家族にすら隠している秘密や嘘も、本気でぶつけ合えば案外受け入れてもらえるものなのかなあ。