このレビューはネタバレを含みます
私立探偵が謎めいた紳士から人探しを依頼されることではじまる、取り返しのつかない悪夢。
さすがはアラン・パーカー、と拍手したくなるような不気味演出や強烈な光と影。
前半の1950年代のブルックリンもそりゃ良いが、途中でニューオーリンズに行ってからが最高!今にもガンボの匂いが漂ってきそうな空気感がちゃんと画面に定着している。「ミシシッピー・バーニング」といい、パーカーはイギリス人なのに南部を描くのがめちゃくちゃ巧い!南部に行ったことない奴でも「あー南部だなあ」と思うほど巧い。
神と悪魔、キリスト教とブードゥー教、白人と黒人、都会と田舎、男と女、猫と犬といった対比が頻出し、結末へのヒントになっている。にもかかわらず事件の謎は一向に解決を見せないという、実にサイケデリックなフィルム・ノワールだ。
でも、改めて振り返ると、主人公の名前が「エンゼル」という時点でちょっとアレだし、死体の靴裏でマッチを擦ってタバコを吹かしたり、ニワトリを異常に嫌ったり、デ・ニーロが爪を長く伸ばしていたりと、伏線がかなりあからさまだが、そういうディテールも含めて最高。
ミッキー・ロークはセクシーだけど、ブルース・ウィリスに見える瞬間が多々ある。オチはそれこそウィリスの「あの映画」に近いが、偶然だろうか。