けーはち

真実の行方のけーはちのレビュー・感想・評価

真実の行方(1996年製作の映画)
3.9
ドヨ~ンと暗い冬のシカゴでカトリックの大司教が惨殺。名誉・金に目がないスカした弁護士リチャード・ギアが血まみれでどう観ても怪しい容疑者エドワード・ノートンの弁護を引き受ける。彼は元部下にして元カノの検事ローラ・リニーと法廷で丁々発止の末に大人のやりとりを繰り広げ、容疑者の心の闇に潜む存在と、『スポットライト 世紀のスクープ』等でも取り上げられた聖職者の非道な行為や権力との癒着などを暴き出し、最後の最後に「もうひとりの彼」の怪演が全部持っていくことになる良作法廷サスペンス。作風はTVドラマ的で映画として地味だし96年作品ゆえ心理スリラー風味も今となっては少し古臭いのだが、暗い一辺倒ではない二転三転する話運びにひかれながら(どんでん返しモノだと知らず評価が高いので観ただけだったのが功を奏し)ラストでズバッとやられた。判事役のアルフレ・ウッダードは最近だと『シビル・ウォー』序盤で息子を亡くしトニーに詰め寄る黒人女性の役で出た名脇役。本作では良い渋味を効かせてくれる。