月うさぎ

長ぐつをはいたネコの月うさぎのレビュー・感想・評価

長ぐつをはいたネコ(2011年製作の映画)
3.7
なんでスパニッシュ?映画全編ラテン音楽で彩られリズム感が心地よい。主人公(主猫公)のプスもスペイン語を時々使っていて舞台はメキシコらしい。西部劇の雰囲気もたっぷり。
声はゾロを演じたアントニオ・バンデラス
エキゾチックなムードが好きな方にお勧め。

『シュレック』は1しか観た事がないのでプスについては無知です。でも、原作はこういうテンポ感の映画ではなかった気がしますが。
調べたら本作にはギレルモ・デル・トロ氏がエグゼクティブ・プロデューサーとして参加(声の出演もしているそうです)点もラテンアレンジに関係しているかもしれないですね。

お尋ね者のプスの生い立ちから、いかにして放浪の身になったのか?そして名誉回復は果たせるのか?
それを主軸に「ジャックと豆の木」のモチーフに「ハンプティダンプティ」「ジャックとジル」などのマザーグースで有名なキャラクターを登場させて童話の世界を描いたものとなっています。この部分は全部イギリス由来ですね。
(ジャックがジルに「丘で転んで頭カチ割ってからおかしいよ」と言われているのはマザーグースがそういう歌詞なんです。ダークよね♪)

猫同士のダンスファイトのシーンは音楽とピッタリあったスピードとユーモアに溢れる映像で印象的です。アニメとしては絵としては暗いトーンが多いのですが、それをリアリティと感じるかどうか、ですかね。

おとぎ話に夢中になるには歳をとり過ぎている私のような者に向けて作られた映画では無いので、物語についてはツッコミ所をあれこれ考えるのはやめましょう。なんで雛が卵産んでるんだとか(あ、言ってしまった!)
おとぎの国の住人達の中でも、長ぐつをはいた猫はよそ者です。(イギリスの童話では無いという意味で)
それがこの物語のヒントかな。

吹き替え版は予告しか見ていないのですが、プスが魔法の豆をジャックとジルから奪おうと決心する動機が改変されてませんか?
「豆が悪党の手に渡った。世界を支配する力だ。プス助けてくれ」
なんてひとっことも言ってませんから!
プスとキティ・フワフワーテの声は息遣いを感じてとてもセクシー。キャラクターの善悪もはっきりしない体で物語は進んでいき、ヒーロー然とした所はむしろ無いです。どことなくミステリアスなんですね。
吹替版しか観ていない方が多そうですが、映画のニュアンス、子供向けアニメの場合、日本バージョンは原作と大部違うかもしれないです。(TEDなんか最たるものですよね)
この映画を子ども向けと思った方は是非字幕版で観て欲しいです。随所に出てくるスペイン語がまた色っぽいですから!

サン・リカルドの街はプスにとっては故郷。そこには母と慕うイメルダがいるから。
けれど、やっぱりプスには自由と放浪がお似合いなのね。
そして彼はレジェンドになった🎵

エンドロールの曲はLADY GAGAの「Americano」
曲に合わせて猫たちの舞い踊る映像がユーモラスで素敵
フルコーラスでもっとたっぷりやってほしかったです🎶
月うさぎ

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