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嘆きの天使のbennoのレビュー・感想・評価

嘆きの天使(1930年製作の映画)
3.6
ドイツ初のトーキー映画…勿論モノクロ…。
原作はハインレッヒ・マンの『ウィンラート教授』…弟はノーベル賞作家のトーマス・マンです。

ミイラ取りがミイラになった話…。


品行方正、謹厳実直なラート教授…彼の毎日は変化のない退屈なもの…今日も生徒にからかわれ教壇に立ちます…。

ある日、生徒が持っていた踊り子の写真を見つけたのが運の尽き!!

生徒たちが入り浸っているナイトクラブ『嘆きの天使』へ…彼らの品行を正すために訪れます…。

そこで出会ったのが…あの写真の踊り子ローラ…。
ラート教授は一目でローラの虜になり…その後も通い詰めナイト気取りでプロポーズ!! …そして結婚へと…

仕事をクビになり、道化師となって一座と共に旅回りを続けます。

“嘆きの天使"は英語タイトルは『Blue Angel 』…クラブの舞台は海をイメージし、さながら日本で言うところの浦島太郎の"竜宮城"…。

そこでローラが歌う ♬ Falling Love Again ♬ は、まさに彼女そのもの…

♪ 男たちは飛び回る 灯りを巡る蛾のように
  男たちが焼かれても 私は何も出来ない ♪

つまり…私の周りを飛び回る男たちなど
         知ったこっちゃない!!

白いシルクハットにガーターベルト…100万ドルの脚線美…小悪魔のような彼女に骨抜きになるラートのデレデレぶりも見ものです。


  〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜





そして5年後…再び故郷の『嘆きの天使』に凱旋…しかしそこにはかつての威風堂々としたラートの姿はありません…。

プライドもズタズタ…何もかも失い、舞台上で辱めを受け…狂ったように叫びながら舞台を後にし暗闇の中へ…

彼が辿り着いた先は…かつて教鞭をとっていた学校…教壇の机にしがみつきながら…そこで静かに息を引きとります……。


世間慣れしていない教授が場違いなクラブで女性に惑わされ身の破滅に至るという"嘆き"で幕を閉じます…。

気の毒ではありますが……自業自得…。
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