まりも

曖昧な未来、黒沢清のまりものレビュー・感想・評価

曖昧な未来、黒沢清(2002年製作の映画)
3.7
自分が黒沢清ファンになったきっかけの作品、「アカルイミライ」
過去の鑑賞記録には、「大切な作品すぎて、やたらと言葉を並べられず。」とだけ書いてある。
そのメイキングとインタビュー映像ドキュメンタリー。

とにかく、出てくる男がみんなカッコよかった。
藤竜也、オダギリジョー、昔の浅野忠信、、でも黒沢監督が一番カッコいいかも。この頃の清のルックスも普通にカッコいいが、うまく話せないなと自分で思いながら話しているような雰囲気が素敵すぎる。曖昧だからこその正直。

独特の演出方法も、「理由はわからないけれどそうする、人間は大半のことは理由もなく、意味なく立ち上がってみたりふと見てみたりする、理由を考えると嘘になる」
と、そんな風に言っていて、対して役者陣も「監督、これにはどんな意味が?」などと聞かずに言われるがまま、ハイ。とそのまんま演じる。
さんざん意味や理由を考え抜いた人ならではの到達点ではないのかなあ、と思った。全部に説明がついて辻褄が合うのって、人間の頭の中だけで作り上げたものだもの。

清は、「心理よりも肉体が大事」と言う。心よりも人間の肉体や絵に映るものを大事にしてる。でもどうしても心理が入り込んでくる…と、要約するとたしかそんなニュアンスの事を言っていたような、、

なんか、心のことばっかり考えすぎると頭おかしくなりますもんね。どうしても人間は心について考えてしまうし、脳味噌ばかり先に使う。それは仕方のないことだけれど、それだと限界が近いような。なんとなく気持ち良かったり身体が喜んだりしているようなことをしていった方が心にも悪くないような気がします。
映画も深イイ言葉とかよりも、ただの人間の顔とかスクリーンに映った姿が意味もなくキますもん。
人が喋る内容ってわりとどうでも良いというと語弊がありますが、言葉には嘘や虚勢や借り物やいっときの思い込みや勘違いもあるから、内容も聴いたその上で、その人の見た目や目の光の強弱や動きや声の音や無音の時間から出る周波数?みたいなのを信用するように注意してます。
だからわけもなく自分は黒沢清好きなのかもなー。
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