ツクヨミ

ひなぎくのツクヨミのレビュー・感想・評価

ひなぎく(1966年製作の映画)
4.9
自由で馬鹿騒ぎなチェコヌーヴェルヴァーグは最高のガールズシネマだった。
1960年代チェコスロヴァキアで華開いたチェコヌーヴェルヴァーグの筆頭として有名らしく、ポップで可愛いイメージからめちゃくちゃ気になって鑑賞してみた。
まずオープニング、機械車輪が無機質に廻るビジュアルとゴダール"カラビニエ"が如く挟まる戦争の記憶がカットバックし目まぐるしく変わりまくる、まさに60年代で顕著な社会風刺が痛烈に効きまくっていた。そしてそんな風刺からモノクロームで壁に座る二人のガールの会話シークエンスに突入、彼女らが体を動かすたびにギーッと変なSEが鳴る仕様に爆笑してしまう。そこから片方が片方を蹴り飛ばすと流麗なムービングマッチカットで華やかな草原へと移行するカッティングに拍手したくなった。
まあ今作はいかにも60年代前衛シネマな印象が強く、モノクロ(サイレント期のようなセピアや青っぽさも含む)とカラーの組み合わせが光る.流麗なマッチカットによるカッティング.モノクロからクローズアップするとカラーになる.明らかにヘンテコな音使い.などなど奇抜な遊び感がマジで楽しすぎるのだ。内容に関してはガールズが飲んで食べて男を騙して遊びまくるというストーリーゼロな仕様を映像表現でめちゃくちゃ面白くするというテイストに仕上げている。映像の遊び心満載さはさながら60年代前半のゴダールの前衛表現を濃縮還元したみたいで最高にクールで堪らない。
そしてなんといってもポップで色鮮やかなビジュアルの背景に載ったガールズの弾けっぷりがキュートでフリーダムすぎる、まさにカルト映画感ビンビンだし音楽に合わせてぴょんぴょん跳ねまくる可愛さったらないね。あとチェコ語のイントネーションというか語尾がまためちゃくちゃ可愛いのよ、正直字幕なんていらないんじゃないかってくらい耳が幸せになる彼女たちのボイスにも痺れる。
また最初と最後で顕著な風刺なモンタージュが良い味出してて、オープニングはベトナム戦争でエンディングは水爆実験の風刺に見えるし社会に抗いまくりなガールズが結局社会に潰されるみたいな印象を与えている気がして楽しいだけじゃないしっかり60年代シネマに仕上がっている。いやしかし最高にキュートで前衛な映像表現が楽しすぎる最強ガールズムービーで大好きすぎるなー。
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