松原慶太

穴の松原慶太のレビュー・感想・評価

(1957年製作の映画)
2.6
市川崑が初期に撮ったクライムコメディ。フリーライターの主人公(京マチ子)、横領を企む銀行員(山村聡、船越英二)、そして警察との三つ巴の騙しあいを、軽いタッチで描く。

話自体は大味ですし、市川崑の才気が空回りしている感もあり、映画としては正直どうなのかなと思いますが、いろいろと見どころがあります。

1)タイトルバックでは、後年「犬神家」で完成する市川崑のタイポグラフィの端緒が見られます。

2)京マチ子の七変化と、テキパキと早口な役づくり。ぼくは「羅生門」の京マチ子しか知らなかったので、新鮮でした。よく考えると、メイクも役柄も「マルサの女」以降の宮本信子とそっくり。伊丹と宮本はかなり京マチ子を研究したのではないでしょうか。

3)猿丸警部(菅原謙二)のコミカルな役どころは、金田一シリーズの加藤武の原型ですね。
松原慶太

松原慶太