このレビューはネタバレを含みます
重厚な映画でした。
核兵器の誤作動(くしゃみ?により七秒取り消し操作が遅れたために、発動してしまった)で世界が終焉を迎えた後に、地下でひっそり生きる残り少ない人類を描く。
絶望しかなく、ただ薄暗いシェルターで時が過ぎていくのを待つのみの毎日。何に希望を持つこともできないのに、気が触れることもなく、死が各人に訪れるまで、静かに協力しあう人々に胸を打たれる。
特に際だつのは、多くを語らない彼らの表情の力。淡々と進むだけに、小児科地区での悲壮な科学者の叫びと顔、父を失った後の息子の顔も余りに際立つ。
そして、荒廃した街の描写もうまい。汚れきった汚水の中をじゃぶじゃぶ歩く様は、見ているだけで身の危険を感じる。
遺伝子変異は意外と早く起きる説や、30年解かれない公式を1時間で解けるようになった件、少しずつ成長する子供を見ていると、少しは希望をもっていいのだろうかと期待するけど、ソ連映画です。そういうんじゃない。
核合意離脱に始まり物騒なこの時代に、再度見直されてほしい映画でした。