風ノ助

冬の光の風ノ助のレビュー・感想・評価

冬の光(1962年製作の映画)
4.0
親に聖職者になれと言われなんとなく牧師になったトマス
愛する妻が亡くなったことで信仰心が薄れかたちだけの聖職者となっていることに悩み苦しむ

信仰心についての悩みは宗教に理解がないとわかりづらい
栄養士の仕事してるのにジャンクフードが好きで悩んでる、とか、人に教えるより研究職に就きたいのに教師をしている、みたいな感じでしょうか

トマスが世話をしてもらってる恋人マルタに「妻と違ってお前はつまらん、お前を愛したことなどない」(意訳)などと平気で傷付ける酷い男なのにマルタはけなげにトマスについて行く

雑用係の人?がトマスに語る、受難続きのイエスが神に疑いを持ってしまった苦しみについて、神は沈黙しているのか、それとも元々不在なのか、という話も興味深かったしオルガン奏者がマルタへ意地悪な話をするのも面白い
そして極め付けは最後のミサ!虚無でもあり救いも感じられる終わり方でした

モノクロのピキっとした明暗が雪景色や陰影のある室内を本当に美しく映しています
映像だけ見てもすごく価値があるけど話が意外と面白かったです
風ノ助

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