YasujiOshiba

王と鳥のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

王と鳥(1980年製作の映画)
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U次。23-133。ようやくキャッチアップ。こんなに面白い映画だったとは、評判だけではわからない。

備忘のために

- 王は王の肖像画に取って代わられる。そもそも王とはとって変わられる存在ってことかな。

- 肖像画の王は、羊飼いの少女への煙突掃除の少年の欲望に触発されて、少女を欲望する。これが「欲望を欲望する」という資本主義において全面化する欲望のあり方。したがって王は、資本主義的な欲望のあり方を先取りしていたとも言えるのかもしれない。

- 王が全てを憎み、全ては王を憎むと表現したのは「鳥」。その鳥は妻を王の「狩り」によって殺され、残された子どもの鳥たちを育てている。だから、王に向かって、私がこうなってしまったのはお前のせいだと言うわけだ。

- ロボット最高。でっかいおもちゃなんだな、あれは。

- 地下のライオンや鳥や像などの猛獣たち。フェリーニにも「地下室のライオン」のコマーシャルがあるけど、それは無意識の世界の「イド」のようなもの。だからその猛獣たちは鳥と間違える、バッソ(下層世界)の住人たち。彼はは「イド」はもちろん「空」も「鳥」も見たことがない。

- 空ばすばらしい。白の煙突から出たとき娘と青年が見る夜空。破壊された白の瓦礫に座ったロボットの背景に夕陽の赤と空のブルー。

- そうか、鳥籠のカゴを破壊するラスト。そこに込められた思いは、フランスだけではなく、あらゆる場所の戦後に生まれた強い思い。もちろん宮崎駿も共鳴している。
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