Yukenz

鬼龍院花子の生涯のYukenzのレビュー・感想・評価

鬼龍院花子の生涯(1982年製作の映画)
3.6
昭和映画の振り返り。かつて金曜ロードショーなんかでテレビ放映していたかもしれないが、今回が初見。

同タイトルの小説を元に映画化されたそうだが、かなり脚色されているようだ。
映画では鬼龍院花子はチョイ役で殆どストーリーに絡まない。彼女の父親である鬼龍院政五郎(通称、鬼政)の人生を、12歳の時に彼の養女となった松恵が振り返る形で話が進む。
紛らわしいので、それなりのサブタイトルでもつければいいのに。

子供時代の松恵を演じた仙道敦子の目力が印象的だったが、松恵の大人役を夏目雅子が演じているのも興味深い。彼女の遺作となった「瀬戸内少年野球団」を姉と一緒に劇場で鑑賞した(ストーリーは殆ど抜けているが)ことを微かに覚えている。

さて、本作は話の展開がかなり急なところがあり、説明もなく突然年単位でシーンが進んだり、場面が変わったりで前提がよく分からず面食らう。所々で高知の方言が分からないことも。でも全体を通じて独特の雰囲気がある。

コンプラでがんじがらめの現代では鬼政のような生き方をするのは相当難しいが、舞台となった大正から昭和初期にかけては、このような豪傑な侠客が各地にチラホラといたのだろう。小説は実在した方をモデルとしているそうなので、当時を知る教材にもなる。
一見しておいて損はないかなと。
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