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怒りの葡萄のkossのレビュー・感想・評価

怒りの葡萄(1940年製作の映画)
3.9
オープニングの十字路を歩いて向かって来るヘンリー・フォンダの何と力強いことか。このショットが映画のすべてを物語る。資本主義と企業の搾取に対抗するには横道に逸れてはいけない。苦難でも信じる道を歩む。延々と続く平原を越えて家にたどり着き、家と土地を奪われ家族とともに仕事を求めて行く傾いたトラックの旅。ロードムービーの傑作でもある。

ラストにフォンダは自分の信じる道のために家族と別れる。旅するトラックに重なって流れるのは開拓時代の古謡レッド・リバー・バレー。ゴールドラッシュを夢見た移民たちは、時が経って企業の搾取に苦しむ。そしてその後、開拓を描いてきた映画人たちがレッドパージで抑圧される。
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