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青い果実の3104のレビュー・感想・評価

青い果実(1955年製作の映画)
3.8
地元青年団「朝がゆ会」のメンバー達の資産家令嬢美也子への想いに端を発した、町内の若い男女間の反目そして和解。そしてその美也子と東京帰りの若い医師田村との恋の行方。この2つの筋を中心に描かれる、明快で爽やかな青春譚。

書くまでもなく想像がつくだろうが、この映画はいくつかの紆余曲折を経てハッピーエンドで締めくくられる。
都合のいいハッピーエンドでコメディタッチ。気構えることも深刻ぶることもなく、肩の力を抜いて楽に観られるのがいい。物語だけでなく、俳優陣からもいってみれば“東宝らしい”明るさや朗らかさが漂っている。

主人公の令嬢美也子に岡田茉莉子。お嬢様的ルックスと軸のぶれないキャラクターがうってつけ。
岡田の美しさは言わずもがなだが物語的にはあまり動けず、故に出番も格段に多いわけではない。それを補うかのように呉服屋と雑貨屋の娘役の河内桃子と森啓子が画面を彩る。色白で長身の河内、そして昔のミア・ファローのようなショートカットの森がとにかく可愛らしい。

令嬢美也子の“母代わり”的な役を演じた三浦光子という女優さん。木暮実千代あたりに似た雰囲気やポジションなのだが全く知らなかった。己が不勉強なだけかもしれぬが、まだまだこうして色々な俳優、女優に出会える楽しみがあるから、古い映画を観るのはやめられない。
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