ぐるぐるシュルツ

アンナのぐるぐるシュルツのレビュー・感想・評価

アンナ(1966年製作の映画)
3.9
太陽の真下で!

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ゴダール作品の天使的存在、アンナ・カリーナ出演のミュージカル作品。元はテレビ放映用に製作されたものらしく。幻の作品ということで、映画館に駆けつける。オシャレな女性客が多かった。でも、これをテレビで流すとは流石フランス。
ポップが強調されたちぐはぐな世界、詩的な唄、キュートすぎるキャラ。
メロドラマになり得ないギリギリの境界がお洒落だなぁと実感しました。

でも、やっぱり、とびっきりはアンナ。
可愛すぎる。一つ一つの所作、物思いにふける姿、思っ切り踊っちゃうおどけた姿、泣きながら唄う姿。
スクリーンの中で、喜怒哀楽に揺れながらぴょんぴょん飛び跳ねまわるのを観ていると『純粋さ』がもつ魅力のポテンシャルに驚かせれる。
今回の劇場公開用のトレーラーのわずか2分弱でもそれは伝わってきますが、
もっとキュートなシーンが劇中に散りばめられていて、ほんとお得な気持ち。

音楽も良かった。
調子外れな曲が多めだったけれど、小さい頃よく見ていたようなポップなアニメを思い出していた。
楽しい曲が好きだった。
それでも中盤で、アンナは自分の居場所に焦がれて、海辺で熱唱する。
あの曲がいちばんのお気に入り。
よくわからない夢オチ的なアメリカンソングも。

そして、最後の物語の締め方は、
フランスですね。急に大人になってしまったような哀愁が漂う。でも、窓際に電車が猛スピードですれ違って素で驚いて笑ってしまうアンナはやっぱりずるい。

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ストーリーはてんでバラバラで、男の女々しい姿が長くてうっとうしいけれど、
色が鮮やかで、スタイルは抜群。
観られる機会もなかなかない映画ということで、
記憶にしまっておけますように。