なみき

ニーチェの馬のなみきのレビュー・感想・評価

ニーチェの馬(2011年製作の映画)
3.5
あえていうならばひたすら退屈な映画なのですが、その退屈さ、不毛さをなんとなく見続けてしまい、気づくと2時間半経っていた不思議な映画。ただでさえ風吹きすさぶ不毛の地なのに、馬は動かなくなり、水は枯れ、火はつかなくなり、唯一の食料であるジャガイモも最後には生のままで食べることになる。そのなかで感情表現もほとんどなく生きる父娘の姿に「このひとたちは何のために生きているんだろう…」と否応なしに思った瞬間に、ニーチェの思想に踏み込んでしまう。徹底的に無意味に繰り返されるだけの生を、それでも肯定できるのかと。ひとに勧めもしないと思うし、自分で見返しもしないと思うけれど、疑いようのない強さのある映画ではありました。
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