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パリ空港の人々のsonozyのレビュー・感想・評価

パリ空港の人々(1993年製作の映画)
4.0
1993年、フィリップ・リオレ監督。
以前から題名とこのジャケットが気になってました。

年末。カナダ・モントリオールの空港で搭乗直前に居眠りしている間に、搭乗券以外の所持品と靴まで盗まれてしまい、その状態のまま搭乗し、妻の待つパリ=シャルル・ド・ゴール空港に到着したアルチェロ(ジャン・ロシュフォール)。

パスポートも盗まれ、身分を証明するものは何一つなく、空港に足止めされてしまうアルチェロ。
窓ごしに会えた妻は呆れつつ空港併設の小さなホテルでやむなく夫が出てくるのを待つことに。

アルチェロは、妻に買ってきたプレゼントの箱ひとつ抱えたままベンチで一晩を明かそうとすると、一人の少年が近づいてくる。
彼の後を付いていくと、入口に寝込んで起きない警備員が座る(笑)部屋があり、3人の男女が、それぞれの事情で長期間空港で足止めされたままそこで暮らしていた。

ゾラという名の少年は、母はアフリカにおり、迎えに来るはずの父を待っている。
ゾラの親代わりになっている、コロンビアで国外通報された美しい女性アンジェラと、各国でコマンド部隊として戦った回顧録を書いているという男セルジュ。
そして、セルジュいわくジャワ島生まれだという、何語か分からない言葉を話し、ほぼ睡眠を取らず、ハンダ付けをしたりしている男。

翌日以降も空港から出れないアルチェロと、彼ら4人との不思議な共同生活が始まる。

テーマも状況設定も違いますが『万引き家族』同様、"行き場を失った人たち(この社会にいないことにされてしまった人たち)"の心の交流。
可笑しさとせつなさと心温まる展開が良かったです。

アルチェロ役のジャン・ロシュフォールさんは、『髪結いの亭主』『列車に乗った男』などに出ていますが、何とも味わい深い名優ですね。
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