きんぽうげ

17歳のカルテのきんぽうげのネタバレレビュー・内容・結末

17歳のカルテ(1999年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

精神病院に入れられたわけは、アスピリン一瓶とウォッカ一本を飲み、瀕死の体になったのを、自殺と捉えられ、その説明が訳が分からないと判断されたためである。訳が分からないと、精神障害とされる。
反社会的行為に走りやすい時期でもある。時代は70年代、反体制という言葉が流行りだした後である。一般社会とは隔離され、異なったタイプの精神障害を持った人間が蠢く空間に投げ出される。当然、違和感があり、どのようにしてその空間に馴染んでいくのは、障害を持たない人でも同様だ。
大きな要素となるのは相性である。組み合わせというもの。
考えてみれば、精神病というのは、ある感情の一面が突出してしまったものの括りである。余計に摩擦が多いに決まっている。あとで明かされる退院の条件は「自覚」ということになるらしい。ここに病院の体質の批判も加わっているのかとも思わせるが、物語は個と個のぶつかり合いの方に重きを置いていた。ここにあこがれという言葉を持ってくるのは誤りかもしれないが、自分にはない何かを求める行動は、誰しも健常者であっても起こすことではないか。8年もの長い間、病院にいるサラはスザンナにとって、そういう存在であったか。主従関係が生まれる要因は、どこまで相手の気持ちを無視し、あるいはコントロールする事のできる立場か。二人が脱走を試み「自覚」し、退院した元患者の家に転がり込んだ時に事件は起こる。
一番のこういった類いの病院で恐いのは、自殺であろう。お思い詰めたあげくの結論。これでサラに拘わった二人目の自殺。なんとも言い難いものがある。立場の逆転的シーンも見ものであった。強いサラを本人も自覚していたが、結局は弱い人間であったという事。崩れ落ちる。ウイノナ-ライダーが自己の経験もし、製作にも乗り出した本作、アンジェリナージョニーとも若々しき頃の勢いに溢れていました。
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