きんぽうげ

グラン・トリノのきんぽうげのネタバレレビュー・内容・結末

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

クリント-イーストウッドの製作意欲には驚かされる。しばらく映画を劇場で観に行かなくなり、未見のを確認したら、5本もあった。
歳はいくつになるのだろう。結末は悲しいものが多かったかなあ。よく覚えていない。
今回もラストは清算の形を取っている。過去を背負った人間としての清算。最愛の妻の葬式から物語は始まる。現代に対応できない、あるいは敢えてしない頑固な爺さんとして彼は登場する。子供たちとの関係もギクシャクとしている。そんな関係を台詞を用いて明らかにしていく。台詞はほとんど皮肉で、死んでいく間際にも吐く。付き合いとはそういったものだと、異人種の若者の諭す。当初は嫌っていた異人種、特に罪を背負うようになったイエローの中にホワイトよりも親しい感覚に陥っていく。ここにもまた、西洋と東洋の根本に漂う生き方の違いが垣間見られる。いくつかのトラブルの起こる事により、隣のイエローとの付き合いが(特に若い二人との)深くなっていく。そして、意を決しなくてはならない事件が起こり、清算へと至る。なんと言っても台詞の楽しさが大きい。アメリカならではのスラングの連発。それにより、物語を動かしていく手腕は大したものである。グラントリノは車の名前であった。過去のよき時代の象徴として出てくる。きっかけはこの車を盗難するところから始まり、タオが遺言から手にすることで終わり、隣には老犬がお供しているラストは粋である。
きんぽうげ

きんぽうげ