イチロヲ

スウィート・ムービーのイチロヲのレビュー・感想・評価

スウィート・ムービー(1974年製作の映画)
4.5
ミス処女コンテスト優勝者の女性と、町の運河に侵入してきた帆船の女船長が、各々のドラマを紡ぎ出していく。カール・マルクスとヴィルヘルム・ライヒの思想を絡めている、不条理コメディ映画。

写しちゃいけないモノ、やってはいけないコトが、あたりまえのように描写される作品。交わる男女を乗せた帆船が民衆の手前まで侵入してきたり(もちろんゲリラ撮影)、未成年の少年の目前でストリップしたり、BANになる表現が間断なく登場する。

後半に入ると、お下劣シーンの合間に「カティンの森事件(ソ連の捕虜となったポーランド人が虐殺された事件)」の記録フィルムを挟み込む演出が登場。ここでは、「本当にグロテスクな行為はどっちだと思う?」という問い掛けを推量することが可能。

本作を鑑賞していると、一体何が「普通」なのかが分からなくなってくる。いわゆる、鑑賞者の生理に挑戦してくる作品の典型であり、「価値観が揺らぐことの気持ち悪さ」を堪能することができる。
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