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インテルビスタのarchのレビュー・感想・評価

インテルビスタ(1987年製作の映画)
4.4
フェリーニの作品はほとんど観てるのだが、これは入手困難で観れてなかった。

ようやく入手して観てみると彼の後年のドキュメンタリック作品(道化師、ローマ)辺りの流れを組みながらも、彼の集大成的な作品になっている。その集大成が『8 1/2』に継ぐ「映画の映画」であり、フェリーニの多くの名作を生み出したチネチッタを描く話になっているというのが、グッとくる。
チネチッタを描くこと、それは映画の裏側(現実)を描くことに他ならないが、そこにこそ非現実な魔法が宿っているという語り口、フェリーニ的に言えばそこに「夢」があるのだ。制作の裏側がこんなにも煌めき描かれるのはフィクションだからでもあるだろうが、フェリーニのチネチッタへの愛が形になっていることは間違いない。
そこに付随して『甘い生活』のアニタとマルチェロの再共演を用意するのは天才。
最近流行り(廃れてきた)数十年後のキャスト再集結という話もいち早くセルフでやってたのに驚きを隠せないし、彼らがかつての自分を観るという光景に、過去と現在を繋ぐ映画の記録という特性の力強さを感じた。


途中変な日本人が出てきて、マルチェロの鼻をつまんだり、鳩尾にパンチしてたり、不敬にも程があるだろとツッコミ入れたくなるシーンがでたりするのだが、これは当時の日本への偏見に由来するんだろう。三船を禁煙させたって、お前は誰だ。

1シーン目のファーストテイクによって終わりを迎える本作、まるで醒めない夢のごとく、永遠を唄う映画の円環構造で終わる本作は、『8 1/2』以来の映画監督の物語であり、集大成だ。
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