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月に囚われた男のみのネタバレレビュー・内容・結末

月に囚われた男(2009年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

とても良かった 97分だし短いからどんな映画なんだろう?と思ってたけどしっかり内容も詰まってるしすごく予想を裏切られたし面白かった

はじめのシーンから、1人だけ月に派遣させるのとか現実的に考えたらおかしいじゃん、何人かで行けばいいのに、、まあそういう設定にしたかったのかな…とか若干冷めた目で観てたらそれすらも裏切ってくるこの展開。むしろこう観客に思わせることで、観客が思ってることが気付かないうちにフラグになってる。魅せ方がとても上手な映画だった。

クローンだってじわじわ分かるのが良かった。手に火傷してたりしたのは(演出的に)
そのためだったんだなぁと。あとはお腹の調子が悪いとかね。これめっちゃしんどい。
映画の中で本人たちが気づくのと同時ぐらいにこれってクローンってことじゃん…って見る側も気づけるようになってるのが上手いなと思った。

真相に辿り着いたのがめちゃくちゃしんどかったなー、、
今までのサムの映像が出てきたのが結構きた。3年契約って、クローンの寿命が持つのが3年だからなのか…っていう。以前、クローンが仮に作れたとしても、寿命が短いみたいなのをどっかで観た気がして、クローンに対する解像度も高かったし、下手に難しいことをしてないのがそれも余計にね。単純作業、、。誰でもできるってそういうことじゃないじゃないですか…
3年契約を信じて地球に帰れる!!ってポットに入った今までのサムが一瞬で灰になるシーンの無情さ。一番報われない。
はじめにいた方のサムが妨害電波の届かないところでイヴに電話をかけるシーン………。自分はクローンだけど、でも移植記憶があるんだよね、移植記憶でも記憶だよ………。もう妻が死んでいるのも悲しかったし、娘が本当はもう15歳なのもびっくりだし、何よりも本当のサム・ベルがいるということを目の当たりにするクローンのサムがあまりにも不憫
帰る家はないはずなのに、「帰りたい」がすごく胸の奥を突く言葉だった。

主演の俳優さんの演じ分けというか、演技力が半端ないですね本当に…。どんどん弱っていくシーンは本当に見ててしんどかった。クローンごとで少しずつ性格が違うけど、根幹の部分ではきっと同じなんだね。人を、自分を殺すことはできない。

めちゃくちゃ寒がって、帽子を被った時に、その帽子についてるロゴが問題の大本の企業のやつなのが本当に皮肉というか。

最初の企業のCMで始まるのが、見る側に状況説明とかをしてないのに分かりやすく入ってくるようになっててとても良かった。

ガーティー、最初は企業の方の差し金なのかな、と思ってたけど本当にロボットだっただけというか。ただ人間からの命令に沿ってただけなんだなって思って、ガーティーのあの申し訳程度の☺︎がとても大事な役割だったんだなぁと ロボットに心が宿るとか、たぶんそういうことではなくてガーティは本当に言われる命令に従っていただけなんだろうと思う。あと、普通の会話とかまだクローンだって気づいてない時の会話の仕方が本当に上手いと思う。上手に話を逸らすというか、言葉通りに受け取ってるというか。ただ、AIはかなり発展してるから、最後の再起動してくださいっていうのも納得できる。

最後ギリギリで妨害電波の緯度と経度?をずらしてたのが良かった。ちゃんと次に繋げたんだね。

終わり方も好み。さすがイギリスっぽい。
み