漫画原作(に限らず)実写映画化するとロクな事にならない邦画界ですが、今作は真面目にオススメできる一品。
完成度が非常に高く、ちょっとシリアスすぎるきらいがあるものの、娯楽映画として、ちゃんと出来ている。
実際のところワーナー製作なんで、厳密には洋画ですが・・・
監督に必要な、「魅せなくてはならない部分をキチンと魅せる」というスキルを大友監督は確かに持っていると思える。
また、全編をとおして割とダークで重厚な雰囲気なんだけども、観ているとそんなにヘヴィすぎるとは感じない。思うに、映画全体のバランス感覚が良いのではなかろうか?
その感覚がどんなものなのかは素人の自分には分からないけれど、重すぎず軽すぎずの絶妙さ加減が、あまりストレスを感じさせない。
アクションもナイス。
俳優陣も、コーディネーターさんやスタントさんも良い仕事っぷりだと思った。色々と細かいアイデアが、ハイスピードで流れるような殺陣の中につまっていた。
飛天御剣流の肝となる「神速」の表現も随所で炸裂。「おお!」と思わせるのに充分。要所要所に織り交ぜることによって、退屈しない戦闘シーンとなっている。
時代劇ではあるけど、元が漫画なので、「漫画のようなアクション」を得意とする香港映画に習ったような、非リアルなチャンバラにしたのかと想像。
また、冒頭の伏見の戦いや、剣心の人斬り場面では、あまり派手すぎない、かといって普通すぎない・・・といった、これもバランス感覚に優れたものに仕上がっています。
原作があると一番気になるのが配役だけれど、個人的には江口洋介の斎藤一が合っていないし、少し熱血漢すぎると思ったぐらいで、概ねキャスティングは合格。
特に剣心役の佐藤建はピッタリとハマっている。
吉川晃司も良かった。血だらけの顔が怖かった。
一本の映画に仕立てるために原作から改変された部分がたくさんあるけれど、あまり違和感は感じなかったなあ。
ただ、キャラクター設定が大幅に変更されていて、ちょっと戸惑った。
特に悪役側。般若だとずっと思っていたのが外印だったり。
須藤元気も、まさか番神だとは気づけず・・・(汗)
大体においてショボくなる日本のアクション映画だけど、今作は出色の出来で、原作ファンにも、原作を知らない人にも、万人にオススメできる快作だと思います。
レンタルDVD、セル・ブルーレイにて