トシオ88

浮草のトシオ88のレビュー・感想・評価

浮草(1959年製作の映画)
4.0
小津監督が大映で監督した唯一の作品。
中村鴈治郎、京マチ子、杉村春子、若尾文子、川口浩という素敵なベテラン、新鋭俳優陣が趣のある深いドラマを見せてくれる。小津監督のカット、そして宮川カメラマンの絶妙のアングル。今回は4K且つアグファフィルムのカラー復刻での鑑賞だったので、その全てが心に残った🥲。 

ストーリーは旅芝居の一座を巡る愛憎物語。ところどころ洒脱なユーモアとキリキリとした人間関係を描きながら、最後はどこか安堵する物語😌。豪雨の中、軒先の下で道路を挟んで罵り合う中村鴈治郎と京マチ子のシーンは特に有名なシーンだけど、4Kで復刻されると、お互いの表情の下の感情までもが伝わってくる感じ。

殆ど音楽は流れないけど、虫の音、鳥の囀り、機関車の轟音、音もまた主役の一つ。そして全盛期の大映美術の真骨頂。セットの緻密さはもはや芸術。少し前の昭和前半の日本の生活の姿を見事に再現。

深く亀裂が入り傷ついた人間関係が最後、ゆっくりと修復されて、再び前向きに車輪が動き出すさまは、やはり癒されました😌🥲🎬
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