このレビューはネタバレを含みます
【キャスト】
* 千姫:野川由美子
* お眉:芳村真理
* お由比:中原早苗
* お瑶:三島ゆり子
* お喬:金子勝美
* お奈美:葵三津子
* 鼓隼人:大木実
* 七斗捨兵衛:待田京介
* 般若寺風伯:吉田義夫
* 雨巻一天斎:山城新伍
* 薄墨友康:小沢昭一
* 徳川家康:曽我廼家明蝶
* 服部半蔵:品川隆二
* 真田幸村:北村英三
* 猿飛佐助:市川小金吾
* 坂崎出羽守:露口茂
1964年(昭和39年)は邦画界にとって性革命の時代の始まりと言われている。(「昭和の女優 官能、エロ映画の時代」大高宏雄著 鹿砦社)
この作品は女性の色気や妖艶さがクローズアップされているが、稚児を産み育てることが容易ではなかった戦国時代の女性の哀しみを切々と描いていた。
最後に千姫が稚児を抱きながら嬉しそうな表情を浮かべているのが印象的だった。
中島貞夫監督のデビュー作品であり、東大の同期生である倉本聰と一緒に脚本も手掛けている。その2人を起用した東映の岡田茂(東大の先輩)は口は悪いし強引な性格だが人を見る目が優れており時代の流れを的確に掴むことができる名プロデューサーだ。
上映時間は約90分だが場面展開や台詞回しがゆっくりしていたので2時間ぐらいの感覚で鑑賞できた。
セットや特撮は目を見張るものがありとても素晴らしい。さすが東映京都のスタッフの技が輝いていた。
配役陣は個性的で魅力のある俳優が揃っている。野川由美子は気品があって美しい。今村組の小沢昭一的エロさは格別。松竹新喜劇からは明蝶家康が関西弁を封印して存在感があった。