ミシンそば

山猫のミシンそばのレビュー・感想・評価

山猫(1963年製作の映画)
2.9
録画していたのを漸く鑑賞。
気宇壮大にして華美、然れど病的な腐臭が漂う、二重の意味で旧時代の映画と言うのが自分の所感。

まず、アラン・ドロンが思ったより布眼帯付けてないことに、今回観て驚き。
統一されることが近世まで遂になかったイタリア貴族の醜い保身と、常人には理解しがたい価値観を、虐げられた市井の人の叫びも多少交えつつ描いている。
毀誉褒貶が激しかろうが、ルキノ・ヴィスコンティは、間違いなく天才だったのだろう。
画作りなど一つ取っても、あまりにも画になりすぎており、そこの芸術的な価値は時代を越えて語り継がれるべきではあると思う。

それでも、終盤の舞踏会はあんまりにも長すぎる。
長すぎて、長すぎて、「まだやってんのかよ」と思わず溢してしまった。
ヴィスコンティの映画作家としてのスタイルはともかく、少なくともこの山猫の作中に於いてはヴィスコンティの傲慢な支配欲が一貫して感じ取れたのも、最後まで乗れなかった原因かもしれない。