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彼女が消えた浜辺のかのレビュー・感想・評価

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)
4.0
話が彼女の安否確認から責任の所在を巡る擦り付け合いに変化していくのを、誰一人として咎めないまま口論へと発展する場面に見ていて違和感を全く覚えないのが恐ろしい。
本来は被害者とも呼べるはずの彼女へ疑いの矛先を向けてしまう追い詰められた人間の弱さにも説得力があった。

身内が責め立てられることを極度に嫌ったり、何か事件が起こるとまず保身を優先するのは特に日本人に顕著な価値観だと思っていたが、ファルハディの映画を見る度に人間の本質は国に左右されないのだと考えを改めさせられる。

“永遠の最悪より最悪の最後の方がマシ”
この台詞をいかように解釈するべきか...。相変わらず余韻を作るラストがうまい。
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