彼女が消えた浜辺の作品情報・感想・評価・動画配信

「彼女が消えた浜辺」に投稿された感想・評価

一幕で舞台でやろうと思えばできる脚本ですね。

4組の家族で借りた浜辺の別荘で、この奥さんが急遽誘った女性が行方不明になってしまい、大人の女性の生死が分からないので大騒動になります。

しかし、この奥さんは、この誘った女性の苗字も知らないんですよね。
日本人は割と他人とは距離を置く民族ですが、アジアの他の国では、鬱陶しいくらいに知り合いとの距離が近いという国は結構多い。
この奥さんもそんな一人かと思ったのですが、最初から奥さんの行動に旦那さんは怒っていたので、イランの中でも、この奥さんは余り考えずに行動するタイプなのかもしれません。

まあ、この奥さんのお節介から、せっかくのバカンスが台無しになり、関係無い他の家族たちまで疲弊してしまうのですが、
大の大人たちが「この場面で、まだそんな嘘をつくの?」と、その場凌ぎの嘘をいい捲るので、この作品はコメディ路線で笑かそうとしているのか、と思う程でした。

しかし、私が一番腹が立ったのは、この奥さんよりも一緒に居た男性たちです。
借りたのは別荘であってホテルではないので、女性陣が料理を自炊しなければなりません。それなのにこの男性たちは、小学生以下の子供がいっぱい居る状況で、ビーチバレーに勤しんでいるのです。
日本だったら、あんな荒れ狂った海の側に子供を連れて行ったなら、絶対片時も目を離さないじゃないですか。
しかも、誰かが溺れた時に、イスラム式の服を来たままの女性が簡単に海に入れないのは分かってるだろうに、このイランの男性陣の意識の低さにビックリしました。

うーん、なんか暗いシチュエーションコメディ…、に見えてしまったな。
かす

かすの感想・評価

4.1
話が彼女の安否確認から責任の所在を巡る擦り付け合いに変化していくのを、誰一人として咎めないまま口論へと発展する場面に見ていて違和感を全く覚えないのが恐ろしい。
本来は被害者とも呼べるはずの彼女へ疑いの矛先を向けてしまう追い詰められた人間の弱さにも説得力があった。

身内が責め立てられることを極度に嫌ったり、何か事件が起こるとまず保身を優先するのは特に日本人に顕著な価値観だと思っていたが、ファルハディの映画を見る度に人間の本質は国に左右されないのだと考えを改めさせられる。

“永遠の最悪より最悪の最後の方がマシ”
この台詞をいかように解釈するべきか...。相変わらず余韻を作るラストがうまい。

カスピ海沿岸の避暑地にバカンスにやって来た男女が、その中の一人の女性の突然の失踪とその原因を描く。

テヘランからほど近いカスピ海沿岸のリゾート地に週末旅行へとやって来たセピデーたち3組の家族。そこに、セピデーに誘われ、たった一人で参加した若い女性、エリがいた。セピデーには、エリに離婚したばかりの友人アーマドを紹介するという思惑があったのだ。しかし翌日、エリは海岸で忽然と姿を消してしまう。事故か…。

イランならではの…。
s子

s子の感想・評価

3.7
週末を使ってバカンスに向かったイランの中産階級の男女が、その中の一人の女性の突然の失踪をきっかけに、彼女の行方と原因を巡って混乱を来す中で、次第にさまざまな謎や問題が浮き彫りになっていく話。

最初はみんなバカンスを楽しんでたけど、その中の女性が失踪した事で終始重い雰囲気だった…。
彼女の事を調べていく中で彼女の秘密なども知っていってまさかの展開にビックリした!?
自分の子供のお守りは人に私だったら頼めないなぁ〜🤔と思ったり、みんな家族や親戚の中で1人他人て言うのも私だったら嫌だなぁ〜とこの作品を見ながら思った。
人間そこまで親しくない人間には冷たいんだなぁ〜と思ったし、もし同じ状況だったら自分はどうするだろうかと色々見終わった後に考えた🤔
ぽち

ぽちの感想・評価

3.5
アスガー監督作品、今作で5本目だがやっとで観かた、楽しみかたが分かってきた。

もちろん素直に練られた脚本や冴えた演出を観るだけでもハイレベルな作品。でももう一歩踏み込んで、小さな棘のように思考に刺さる違和感を追求してみるのも楽しい。

今作は特にイランの中流階級を扱っているので、庶民的な行動など共感できるところが多く監督の他の作品に比べカルチャーギャップが少ないのだが、ラストの婚約者アリレザの行動に違和感を覚える。
また誘ったセピデーの考え方も同じ。

彼にとって一番大事だったのが「婚約者がいると言ったか?」そしてセピデーが守りたかったエリの名誉が「最初は断った」こと。

何かおかしくないか?
どう考えても一番大切なのは「愛していたか」ではないのだろうか。

この小さな棘から見えてくるものはイランの文化、又は宗教の根底に流れる男尊女卑であり、男性社会の自己中心的な所や、それを当たり前と受け入れている女性社会の未熟さだと思う。

「美しい都市」のようなぶっ飛んだギャップではなく、ザラッとした小さな違和感だが、その根底には大きな問題が隠れているのだろう。

ストーリーや演出は相変わらずのハイクオリティ。
でも意外だったのがしっかりエリの死を出したことかな。うやむやにして一層不安感や、疑問を残してのエンディングだと想像していたが、思いのほかスッキリ終わっていて驚いた。

さて、「誰のせい?」と言うのはテーマとは全く関係がないし、作品にとってどうでもよいことなのだが・・・・・
お節介をやいて良かれと二人を誘ったセピデーは善意による行動が全て裏目に出ただけ。
ガキンチョが溺れたのが原因だが、子供に罪は無いだろう。
でも、子供を監視できなかった親に一番責任があると思うのだがいかがだろう?
「誰それに頼んだ」は通用しない。自分の子供の安全を確保できなかったのだから。

ってことで、ショーレ、ペイマン夫妻が有罪だな。


余談。
「もう30分も探したし、海が濁ってるから帰る」
おいおい・・・・・

それ以前に、小舟でダイバー二人だけの捜索って・・・・

ここら辺は、ツッコミ入れて笑う所だな。
otomisan

otomisanの感想・評価

4.1
 なにが最悪だと言っても、望んだことなどないのに便宜上であるにせよ誰かが死んでいてくれればいいなんて思うことほど悪い事態はないだろう。ところが、セピデーはエリの婚約者に向かって、このお見合い旅行に際してエリは婚約の件を告げなかったと噓をつく。
 この少しあと、エリらしき遺体が上がったと通知が届くが、このタイミングは監督の計らいである。それを知っての嘘ならばセピデーもエリから真実が告げられる事を恐れエリが生きて見つかり証言される事のありませんようになどと願わずに済んだのだ。最悪な最後とはこういう事であり、この最悪事をセピデーは長くこころに留めるのだろう。セピデーの増えた白髪にそんな事を思う。

 おなじ事は旅の同行者らも一様に思っていたに違いないが、答えられるのはセピデ―ただひとりである。この物語の辛いところは誰もその嘘を口外してしまったセピデ―の思いを分かち合えないところにある。
 もちろん、エリの生存は絶望的ではあったろうし、方便としてついた嘘なのもその通りだが、そのとき、セピデーはエリをこころの中で裏切り、噓つきにし、殺してしまったのを感じたのだ。
 その動揺を同行者たちは共有しないでいると思うかは観衆各人まちまちだろうが、少なくとも彼らも冷静ではいられないに違いない。浜に埋まった車を引き出そうと苦労する彼らもAWDで牽引する事さえ気づかずにいるのだから。

 保守派で対外強硬路線のアフマディネジャード政権期のイランだが、そんな空気を感じさせない事に幾分驚く。こうした事件のもとでのひとのこころのありようには違いのないのが知れるだろう。
 ただ、一点気になるのはエリと婚約者との3年間である。双方の親が望まないという、信仰上の問題なのか、家格や収入の問題なのか、親のため話が進まない関係をエリは本心から断ちたかったのか。アーマドなら親たちの了承が得られ婚約者に諦めさせられると思ったのか。それならアーマドへの関心が帰る事に勝りはしないのか。それともあらためて婚約者への思いが断ち切れない事を実感したのか。
 エリを最後に目撃した凧あげで空に一心視線を遣る様子がどこか清々して見える。本当はエリは誰との結婚も望んでなかったのではないか。
 それにしても誰もが急場しのぎのように嘘を放ち平気でいるらしい。しかもそれが噓と分かっても平気でそれに応じてしまう。まるでそれが互いに方便と認め合っているかのようにさえ感じられる。
 そんな中、エリだけが電話で居留守を頼むぐらいの噓にとどめているようで好ましい。結局、男二人に本当のところを告げずに終わってしまったのだが、あるいはエリもそこで何らかの嘘をつくことになるのか煮え切らない様子が気になった。それだけにあの凧あげのいっときの取り繕いのない風が美しく思えるのだ。
990円/月額 スターチャンネルEX

2022/09/14
shoepexe

shoepexeの感想・評価

4.2
よかれと思ってついた小さな嘘がのちに取り返しのつかない事態を引き起こす、というパターンはファルハディの定番。貴重な未鑑賞ファルハディまつりでした。
みんと

みんとの感想・評価

3.9
コチラも観たかったファルハディ監督作品。
怒涛の展開だった。巧妙な心理描写で観る側をグングン巻き込む社会派サスペンスと言ったら良いのかな?

バカンス中のグループから若い女性が失踪したことをきっかけに、イラン社会の様々な問題が浮き彫りになってゆく…

些か子供じみた嘘とかはしゃぎぶりは滑稽に感じたりイライラもする。けれど、絶えず見え隠れするのはイラン社会に潜む空虚さとか因習とか女性の立場とか。

緻密なプロットとテンポよく緊張感のある会話たち。不安やエゴと言った複雑な人間の内面が暴かれていく様子が実にリアル。

相変わらずほのめかしの映像や意味深なセリフがボディブローのように効いてくる。ジャケにある凧揚げのシーンは一際印象的だったけれど、そもそもオープニングから既にしっかり匂わせてる。

ガラッと空気が変わる演出も素晴らしい。
何より見せ方が上手いし引き込み方が上手いと思う。

そして、え?え?ラストはいったい…

ファルハディ監督作はいつもラストを予想してしまうし楽しみでもあるけれど、またもオチは予想とは違ってた。



“永遠の最悪より最悪の最後の方がマシ“
もやし

もやしの感想・評価

4.9
映画ハマりたての頃「別離」を見て超感激して、それからというもの同監督のこの作品をずっと見たかったがレンタルも配信も一切されず、待望の鑑賞になった!


別離すら超えるとんだトラウマ精神疲労映画だった。
満点つけたい作品なんだけど途中で見るの止めたくなるレベルの苦痛があったので笑、0.1点引きということで…笑



なんか新婚旅行も兼ねて親戚一堂の旅行みたいなのに一人の他人の女性も同行してて。なんかどうも親戚の中に離婚したての男がいて、そいつとくっつけようという目的ありきで連れて来られたみたい。

いわゆるハラスメントだな。女性にはその気がないのに親戚全員が煽てる煽てる。

しかも一泊という約束で連れてこられたのに実は三泊も! 帰りたいと全力で訴えるも帰らせてもらえない。


海で遊ぶ子供達を見ててと頼まれたその女性。だがその後子供が溺れる。子供が何とか助かったと思ったら今度はその女性がいない。
もしかして助けようとして溺れた? それとも勝手に家に帰った? 何が起きた?



このストーリーに116分も尺いるか?と思ったら彼女が失踪してからが本番だった。
結論の出ないモヤモヤと停滞した空間で、徐々に親戚内で出口の見えない言い争いが始まる。
最初は彼女を心配して泣いていた人間がその口で子供を見捨てた身勝手な女と罵る。人間の自己保身の原理ってすごい。


人間の愚かさが全面に出た作品。
徐々に真実が判明していくミステリー要素も多分にあり。ヒューマンミステリーの名作。

切なさもあるっちゃあるけどそれより何より見るのがただただしんどい!笑
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