とぽとぽ

海外特派員のとぽとぽのレビュー・感想・評価

海外特派員(1940年製作の映画)
4.2
すこぶる面白い!鳥を餌を与える時間ならある = 特ダネを掴んでアメリカを起こせ!!

欧州最大の危機…犯罪的陰謀があってそいつは今こうしている間にも進行中、戦争が迫っている!警官を殴った記者なんてピッタリ!先入観は邪魔だ、世界最大の特ダネを取れ!J.J.からH.H.に命名されて、ニューヨークからイギリスやオランダ、ヨーロッパへと渡る主人公。政治音痴よ、記者魂に火をつけろ。昔の映画って主人公の仕事で記者出てきがちな気がする。
とにかく手に汗握る陰謀にアクションシーンも秀逸で見どころ十分。流石はテンポよく映像で語ることに長けているなと痛感する、マスタークラスの実に巧みかつ豊かなストーリーテリング堪能。コレコレこれぞ『北北西に進路を取れ』等のように映画を見る醍醐味が詰まっている。ドキドキハラハラのサスペンスとクスクスケラケラと笑えるコミック・リリーフのバランスが秀逸で飽きさせない、どころかあっという間にグイグイと見入ってしまうような面白さがある。それが言いたかった。初対面からプロボーズまでが早すぎるし、"そこでこれ言う?"みたいなよく分からなさもそれはそれで笑えて最高。そんな急を要するタイミングでダンス教室の解約とか頼むなよ(笑)!欧州の政治には疎いが、多くを知りすぎたようだ。
エンタメ娯楽性とすぐそこ目前まで迫る戦争の危険/残酷性を見る者に喚起する社会性。そして『タイタニック』のレオ様(や『アルマゲドン』)など枚挙にいとま無しに通ずる自己犠牲や贖罪。彼は僕らの命を助けた!盗ま聞きまで差異を伴う反復。そして、後年の録音や配信で敵の本音をこっそりと引っ張り出す作戦に通ずる、絵に描いたような説明セリフ作戦までとことん秀逸。落とし所としては、例えば近年で言えばノーラン作『ダンケルク』みたいな"これから戦っていくぞ!"というスタンスで、自由主義諸国のリーダー=アメリカにかける最後の希望を高らかに謳い上げて作品は終わっていく。これだけ面白ければプロバガンダでもいいじゃないか(ex.『カサブランカ』)!The End

明日始まる戦争
一同再会だ
父は祖国のために戦った、苦しみながら卑劣な方法で
電話は特ダネ限定!平和党はスパイの巣窟
残された明かりはアメリカのみ!
とぽとぽ

とぽとぽ