さすらいの旅人

トゥモロー・ワールドのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)
3.8
ウクライナ戦争を彷彿させる市街戦の恐ろしさは凄い
【CATV/ザ・シネマch/オンデマンド視聴/ビスタサイズ】

いや~、市街戦の戦争アクションは予想以上に凄い。
近未来SF映画である。生殖能力を失った人類の絶望世界が描かれる。国家機能は破綻し、政府軍と反体制組織との激しい戦いが繰り広げられる。そんな中で未来を背負う少女が出現し、その少女を巡っての争奪かつ逃亡劇が始まる。とにかくアクションが凄い。

本作は第79回(2007)アカデミー賞の脚色や撮影、編集賞にノミネートされたらしい。特に素晴らしいと思ったのが撮影だ。映画「1917命をかけた伝令」での臨場感溢れるワンカット風撮影も良かったが、この映画の撮影も全く引けを取らない。カメラと主人公が一体化して、激しい市街戦の真っ只中を逃げ惑うシーンは圧巻だ。カメラレンズに赤い血しぶきが付いたままの映像は、現実そのもので恐怖を感じた。現在のウクライナ戦争を思い出す。

主演は昔ジェームズ・ボンド役候補にも挙がったイングランド出身のクライブ・オーウェンだ。渋いその姿は男の哀愁を感じる。少女を勇気付けながらの戦場での逃亡劇は、久しぶりに手に汗を握るシーンであった。
本作はSF映画ではあるが、戦争アクション映画としても十分楽しめる作品と言える。