ベビーパウダー山崎

高校教師 失神!のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

高校教師 失神!(1985年製作の映画)
4.0
高架下の奥行き、その暗がりで男がライターの火を燃やすと浮かび上がる女性の下半身。流れ出した血が真っ白なハイヒールに滴り落ちる。理屈ではない、私たちが目撃している事柄がすべて。双眼鏡を覗く女、自殺しようと走らせた車、借金取りの女、タクシー運転手と女教師との情事、TVモニターを並べた部屋で踊る教師と生徒。男の欲望に屈従され続けてきた肉体、刺し殺すのも当然の帰結。ポルノの猥雑さ人間の弱さを包括する映画的な装置(瞬間)がこのフィルムには刻まれている。
加藤文彦のいくつかの作品から受け取った「映画」の熱にやられて、時代の終わりが近づき流されていったままの単なるポルノ映画を前のめりで肯定しているふしは確かにあるが、それでもヒイキ目に見る価値はあると信じている。