♪ 昔に戻りたいんじゃない
やり直せるかどうかなんて
そんなことはどうでもいい
うわぁ…。
とてもイヤな物語ですねえ…。
何がイヤって“一歩間違えれば自分も同じ立場になりかねない”と思わせる雰囲気。他人事とは思えない題材がイヤなのです。
主人公のメイは友達がいません。
しかし、それは彼女のせいではなく、幼少のころから“目が悪かった”からなんです。両親は目を治すための対策(眼帯とか)をしますが…それは他の子供には伝わりません。自然と他人との間に溝を作り“距離感”を養うチャンスを失っていくのです。
ここまでが序盤で描かれる物語の“前提”。
これがね。イヤなんですよね。ぶっちゃけた話、僕も未だに他人との距離感は分かりませんからね。絶対的な答えなんてありません。傷つきながら試すしかないんです。でも、痛いのはイヤなんです。傷つけるのもイヤなんです。
だからねえ。
彼女に共感しちゃうんですよねえ。
勿論、共感はしますが、彼女の行動すべてを理解できるか…と言ったら別の話ですが。
そして、彼女を演じた女優さんの熱演が見事。
演じたのはアンジェラ・ベティス。日本語版ウィキペディアに専用ページがないのが不思議なくらいに圧倒的でした。
そんな彼女の底力を引き出したのはラッキー・マッキー監督。でも、こちらも専用ページが見当たりませんでした。調べてみたら、どうやらB級ホラー専門のよう。本作に限って言えば、A級と呼んでも遜色ない出来栄えでしたけど。
特に人形の使い方が良かったと思います。
というか“アレ”を作った人(小道具さん?)が本作のMVPじゃないでしょうか。ホラー映画には色々と怖い人形が出てきますけど“アレ”の不気味さはぶっちぎりです。
まあ、そんなわけで。
ぷるぷるのゼリーがブシャッと壊れるようなホラー映画。肉体的にグロい場面もありますけど、どちらかと言えば精神的グロさが際立つ作品。臨むには覚悟が必要ですよ。