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歩いても 歩いてものとぽとぽのレビュー・感想・評価

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)
5.0
何てことないのに何かがあるのが魅力ーーーある意味現代版『東京物語』でタイトルの意味を本作観賞後の余韻と共に考え噛み締めても深い深すぎる、歩いても歩いてもまだ当分親には追い付けそうにはないや... 一見すると(誰かの)実家に呼ばれて気まずい思いしたことある人必見?! 普通が苦痛な瞬間も。シンプルさの中に家族の歴史をしっかりと感じるし是枝版小津調を堪能できる。台詞のやり取りは役者の才能・化学反応も相俟って自然体かつ深く、長回しも意味がある。キャラクターはしっかりと立っていて、関係・歴史は深い。父と息子、嫁と姑。些細であって案外野太く気まずく、血の通ったように生き生きとした何気ない会話が育む豊潤な時間。画面には映らないけど我が事のように見えるものがここには山とあるし、単にシチュエーションとしていうよりキャラクターから来る共感ポイントも多い。少しシュールでユーモラス、そしてある程度時間が経ってからそれぞれの本音が見える瞬間が物凄く怖い。話題も多岐に渡りつつ今と昔の男女間の価値観の違いや死生観。静かにバチバチしつつ鋭く気まずくて、小言嫌みチクリ希林さんに戦々恐々。早く帰りたい! なのに愛しい。一見何てことしか描いていないのにまたしても余韻が凄い。そんな是枝組キャストで描く長男の命日に医者家族帰省ホームドラマは、『誰も知らない』の路線が『万引き家族』に継承されたように、『海よりもまだ深く』に引き継がれていくみたい(主演俳優と共に)。親孝行はできる内に。

死んだウサギに手紙「誰も読まないのに?」あんなくだらない奴のために「人の人生を比べるな」「あんた酷いなぁ」普通「いいわねぇ~今の人は」開けないで、純平かもしれないから「ちょっと母さん落ち着いて」海「次は正月か」「これでもう正月はいいだろ」次は日帰りで「ああ、いっつもこうなんだよな、少し間に合わないんだ」名前思い出した!「紋白蝶だ」誰から聞いたの~?「誰だっけかな~」
TOMATOMETER100 AUDIENCE90
Hirokazu Kore-eda's film may seem modest at first, but this family drama casts a delicate, entrancing spell.
Roger Ebert Chicago SunTimes, Time Out, Philadelphia Inquirer, Sun Francisco Chronicle ☆☆☆☆☆
September 3, 2009
If anyone can be considered an heir of the great Yasujiro Ozu, it might be Hirokazu Kore-Eda, the writer and director of Still Walking.
EMPIRE, Guardian, Total Film 4/5
ReelViews 3.5/4
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