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千夜一夜物語のkarmapoliceのレビュー・感想・評価

千夜一夜物語(1969年製作の映画)
3.8
山本暎一監督、手塚治虫、深沢一夫、熊井宏之脚本、やなせたかし美術、キャラクターデザイン、青島幸男、岸田今日子、芥川比呂志声の出演、冨田勲、ザ・ヘルプフル・ソウル音楽、ザ・ヘルプフル・ソウル、チャーリー・コーセイテーマ曲「アルディンのテーマ」、1969年作品。

原案として『千夜一夜物語』を題材としているものの、本来のエピソードを縦断し自由にストーリーを組み立てている。また、本来アラビアンナイトとは関係のない女護ヶ島やバベルの塔のエピソードも組み込まれている。ストーリの骨子は、アルディンという野心ある若者が数々の冒険の結果地位と財産を得るものの結果としてそれらの無常に気づいてすべてを棄ててまた旅立つ、というストーリーにアラビアンナイトの数々のエピソードを絡ませた構成になっている。

日本で初めての大人向けアニメーション。全編遊び心のあるサイケデリックなアート作品。セクシャルなテーマがメインだと言う事もあり、かなり内容によく合った演出。平面的な絵面故に現代にないアイデア満載で、美しい構図とカラフルな色彩感覚が多々楽しめる。ヴィヴィットな色使いに実写も交えてデフォルメの美しいシルエットを多用したサイケな構成は、豊かな表現力としか言いようがないと思う。

テーマ曲を筆頭に挿入されるジャズ色の強いロックなヴォーカルのチャーリー・コーセイは本作をきっかけに後にアニメ「ルパン三世」の音楽を担当するようになる。そう書くとどんなサウンドか想像出来るだろうか(笑)美術とキャラクターデザイン担当のやなせたかしは「アンパンマン」以前は大人のコミックが得意だったらしく、打って付けの仕事だったのだそう。

何処を切り取っても大人向けの作品だと言えそう。手塚治虫のコミックの大ファンではあるけど、アニメの方の活躍は知らない事もまだまだ多いなと思わされた。観応えがあり良かったと思う。
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