磯部たくみ

プレステージの磯部たくみのレビュー・感想・評価

プレステージ(2006年製作の映画)
3.0
ヒュー・ジャックマンにクリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、更にはデヴィッド・ボウイがジョインしたクリストファー・ノーラン監督の「プレステージ」(原題: The Prestige)は、ノーラン作品の中でも形を顰めており知名度は低めな気がします。ただその中でも評判は高く「最後騙された」とのレビューを拝見し期待値高めで鑑賞させていただきました。「うーん。」、私にはあまり刺さらなかった。ただデヴィッド・ボウイはなんとも素敵で刺さりました。笑

ノーラン監督の一種の代名詞ともなっている時系列の改変ですが、それ自体が作品に大きく影響を与える場合(それを題材として用いるケース)と、一つのフックとして用いる場合の二種類があるように思います。前者にはMementoなどの作品が当てはまると思いますが、本作は分類するのであれば、限りなく後者であり、「さまざまな伏線を散りばめること」から焦点を外す、ミスディレクション、本作的に表現するのであれば、アシスタントガールのように組み込まれているのかなと感じました。

またロバート・アンジャーの最後のマジックよりファンタジーライクに舵を取る本作ですが、その姿はまるで、アルフレッド・ボーデンが序盤少年に放った「皆タネあかしに興味はない」(的な発言)のようであり、終盤にかけ少しづつ興醒めしていったように感じます。中盤頃までリアリスティックだったからこそ、そっち行っちゃうの?と。

「思いも寄らぬ衝撃的ラストが待ってる」「最後騙された」などのコメントは少々一人歩きが過ぎていたのではないでしょうか。コレもアリならソレもアリだよねとなってしまいました。
またマイケル・ケインの導入と締めの言葉はいかにも感がかなりあり、「この言葉は本作のことを指してたんだ!」と言わせたいのかなと受け止めてしまい、「うーん」となってしまいました。

ただ、緻密な伏線設計に関しては、やはり一級品であり、見事に点と点が繋がっていく様は非常に気持ちが良いなと思います。また「誰がこの人たちに共感して感情移入できるんだ?」となるような二人の醜い争いでしたが、何かに特段目を奪われることなく、観続けることができたのは、ノーラン監督の素晴らしいディレクションがあったんだなと改めて思わされます。

最後、装置が瞬間移動装置として機能し、アルフレッド・ボーデンの「呪文」の瞬間、助けるのかな?と一瞬思いましたが、全く違いました笑 最後は、「へー」となってしまい、「うわ!騙された!!」となれず、少し寂しかったです。
磯部たくみ

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