Kazu

日蔭のふたりのKazuのレビュー・感想・評価

日蔭のふたり(1996年製作の映画)
4.0

トマス・ハーディ原作
「日陰者ジュード」
19世紀のイギリスを舞台に、オーストラリアとの国家格差、階級制度、結婚制度、宗教観など、様々な意味を描き込んでいる作品です。

今作は、早くに両親を亡くした下級階級の主人公ジュードが学問に目覚め大学進学を目指し聖職者になる夢を追い求める人生の過程を描いています。

しかし、当時のイギリスの国家体制はそんな夢見る少年には冷たいのです。

現実は石工として働き、大学教育を受けることに限界がある事を知るジュード。

同じ下級の魅惑的な女性アラベラと結婚して、あっさり夢を諦めてしまう。
しかし、学問に囚われたままのジュードの稼ぎは乏しく、夫に愛想を尽かした妻との最初の結婚は簡単に破綻してしまう。

ジュードと言う青年が夢を追って努力する物語だと単純に思っていた私は前半から何とも納得の行かない展開で何度作品を見直しても解釈が出来ずにいた。

原作ほど詳細ではなくとも映画化された今作は、かなり忠実だと思うが無知な私にはレビューする迄かなり時間がかかった作品でした。

幸せそうなジャケからは想像もつかないストーリー展開、そして中盤の救いようのない悲惨な事件、

この作品はケイト・ウィンスレット目当てでご覧になる方も多いと思う、私もその中の一人ですが、
ケイト演ずるスーが、いとこのジュードと出会い恋に落ち、同棲生活を送る日々が余りにも幼稚な考えで救われない。

二人の考えがもう少し大人で、現実を受け入れていたらと・・・

二人の考えに共感する部分もあるがそれは余りにも犠牲を生み、悲しみが多過ぎた。

勿論、ハーディが問題として取り上げている結婚制度や、宗教観、女性地位など、現在でも解決していない世の中の矛盾や理不尽さがあるにせよ、
軽率過ぎる、そう、二人共が子供のまま大人になっている。

そして二人は・・・となるのだが

全体的にとても暗く、救いようのない悲劇ですが、その辛さを共感し受け止める強さを持つ意味では、とても忘れられない作品のひとつです。

二人が生きるイギリス社会は彼等を日陰者扱いしかしなかった、

ハーディの作品は難しいです😫

鑑賞後、納得のいかない感情が湧き上がる作品です。


追伸
今作のアラベラ役のレイチェル・グリフィスが、先日鑑賞した
『ライド・ライク・ア・ガール 』の監督さんだと最近知りました。
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