らんらん

残菊物語のらんらんのレビュー・感想・評価

残菊物語(1939年製作の映画)
4.5
1956年の大映のリメイク版に続いて鑑賞、調べてみたら12年振りの再鑑賞です
ということであらすじはほぼ同じなので主に比較しながらの感想

やっぱり昔の自分の高評価そのままに良かったです!溝口健二が監督した名作のオリジナル、モノクロの良さっていうのもあるし、何より重みが違う、そのリアリティさ雰囲気、お芝居、映画なんだけど真に迫る本物感がある

その点で見ると大映版は娯楽作品風、綺麗すぎる、ドサ回りで落ちぶれる菊之助とお徳の2人の描写なんか特にそう思う、こっちはその長年の苦労、時にはやけになりやさぐれていたり、その描写の差がキャラクターとしてより生きていると思う
あとは長谷川一夫と淡島千景がのろけるシーン、あなたって呼び名に照れていたり、酒を口移しで飲んだり、この辺の描写が作品を軽くしてると思う

そして大映版で一番気になったラストお徳の危篤に駆けつける菊之助と、それを許す父菊五郎の描写
ここもやっぱり全然印象違った、こっちはお徳自体が呼んでない、周りが気を利かせて呼んでいる
父菊五郎にしたってもう死ぬから許したみたいな感じではなく、それまでの苦労と息子菊之助の成長に感謝し労いの気持ちから認めたみたいな
そうだよね、そうだからこそ納得できるし感動もある、最後までいじらしいお徳と立派な役者になった菊之助、だからこそ許し認めた菊五郎、見せかた次第で変わるもんです

今回はリメイク版と比較することでよりオリジナルの良さを知ったみたいな、そんな2回目の鑑賞でした
らんらん

らんらん