Jin

時計じかけのオレンジのJinのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
3.8
”善とは、選択するものなのだ。人間が選択できなくなった時、人間ではなくなる”


暴力の溢れる世界。捕まった少年ギャング団のボスがうける新治療。キューブリック独自の世界観が詰まったSF作品。


一番噛み下しにくいのは、この映画の世界の訳しづらい「ナッドサット語」なんだろうな…
日本語の壁も感じる。

でもそれ以外はもう世界設定が圧巻。言語や台詞にはおさまらない。
不穏なシーンにつかう明るい名曲…雨に唄えばも第九もトラウマもの。
店や家の内装、人々の衣装やメイクは近未来を通り越した奇抜さ。
さながら拷問な治療シーンも目に焼きつく。

結構グロテスクでエロチックなのにどこか可笑しさというかお伽話感があるのは、カメラワークや演出の力なんだろうなあ…
そういう意味では若干のウェスアンダーソン感もあるかもしれない。

内容も内容で…。
悪い奴ってどうやったら更生するの…っていう暴力生への絶望感。
贖罪ってなんだろうっていう難しさ。
ショック治療の恐ろしさ。

モラルって大事だなあと思うけど、モラルって何かって難しいし…。
社会のどうしようもないところを鋭く指摘された感じ。

結構社会派で面白いけど、世界観が強烈すぎて「カルト映画」と言われるのもわからなくはない。
すげえ…ってなる。
Jin

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