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時計じかけのオレンジのhzkのネタバレレビュー・内容・結末

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

センスの塊。さすが写真家って感じのアーティスティックなカット多し。
カラフルな色使いのインテリアとか猫だらけの部屋とか写真集見てるみたい。
暴力とエロとなんだか訳わからん言葉ポンポン飛び交ってて、それを優雅なクラシック音楽に乗せて流すなんて、中2くらいに観てたら1番好きな映画に挙げて痛がられること間違いなしのサブカル受け抜群ムービーではないですか。
カルト映画と呼ぶにふさわしい一本。
シャレオツな雰囲気だけど只事じゃない、でもなんだかよくわからない。
ただの奇抜な映画かぁ?思ったら、後半からの展開が好きだった!なにこれ!

ロボトミーみたいな洗脳療法も怖かったけど、1番キツかったのは出所後の実家に帰宅したら自分によく似た男が家族ヅラして馴染んでたとこ。
自分の代わりはいくらでもいることを思い知らされ、存在意義とか価値とかガラガラ崩れていく。
その絶望感を家族使って味わせられるとか、もう精神ズタズタじゃん。
自分が消えた。帰る場所もなくなった。
その直後、かつての仲間からのリンチ。
しかも一緒に悪事を働いてた奴らが警察官に!
過去の悪に蓋をして善人の顔して暮らしてる人なんてゴマンといると思うとゾッとするシーン。
助けを求めて入った場所が過去に襲った作家とか、レイプした妻は自殺してるとか、因果応報自業自得というワードがグルグル回る…なのに何故か可哀想に見えてしまうアレックス。
犯罪者としての悪の部分を取り除くため、政府が行った療法に被験者として使われ、自殺に追い込まれたことで世間から政府がバッシングされ今度は実験の可哀想な被害者となる。
第九の流れるスピーカーをプレゼントに見舞いに来た大臣と握手。信頼回復の為の道具として使われたアレックス。その瞬間アレックスにあの表情が戻り「完璧に治ったね」でTHE END!ホラーじゃん!
嫌なループ。根っからの本性は簡単に変えられない。
世論は変わりやすい、という政府や世間の掌返しへの風刺も感じた。
近未来が舞台でも社会の本質はいつの時代も同じ。
何回も観たくなる映画じゃないけどコレは忘れられない作品だ。
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